【2018年版】大卒を対象とした求人倍率の推移。就職氷河期はいつ?ピークは?
- 作成日:2018/03/22
自分の就職した時代が現在と比較して難しかったのか気になりませんか? 現在の大卒の求人倍率を過去と比較してグラフでまとめました。
調査対象について
まずは今回取り上げるテーマの調査概要について簡単に説明しておきます。 調査はリクルートワークス研究所が行いました。
今年の調査対象の大卒は2018年3月に卒業予定の大学生1237人と、大学院生385人です。 調査期間は2017年3月2日~3月9日の間にインターネットのアンケートで行われました。
一方で、調査対象の企業は全国4509社の民間企業です。 調査期間は2017年2月7日~3月15日の間で、 電話・FAXで調査が行われました
大卒の求人倍率
過去から現在までの求人倍率をまとめました。 求人倍率からはその時代の就職状況が見えてきます。
求人倍率とは
今回テーマにした大卒の求人倍率は以下のように求められたものです。
求人倍率という難しい言葉を使っていますが、 単純に就職したい人に対して募集している会社がどれだけあるのかというだけです。
年によって求人数と就職希望者数は異なりますが、求人倍率を求める方法は上記の式で同じです。
求人倍率の推移
1987年から現在までの32年分の求人倍率を一覧にしてまとめました。 直近で高めの倍率を赤字。低めの倍率を青字で示しています。
年度 | 求人倍率 | 求人数 | 就職希望者数 |
---|---|---|---|
2018 | 1.78 | 755100 | 423200 |
2017 | 1.74 | 734300 | 421900 |
2016 | 1.73 | 719300 | 416700 |
2015 | 1.61 | 682500 | 423200 |
2014 | 1.28 | 543500 | 425700 |
2013 | 1.27 | 553800 | 434500 |
2012 | 1.23 | 559700 | 454900 |
2011 | 1.28 | 581900 | 455700 |
2010 | 1.62 | 725300 | 447000 |
2009 | 2.14 | 948000 | 443100 |
2008 | 2.14 | 932600 | 436500 |
2007 | 1.89 | 825000 | 436900 |
2006 | 1.6 | 698800 | 436300 |
2005 | 1.37 | 596900 | 435100 |
2004 | 1.35 | 583600 | 433700 |
2003 | 1.3 | 560100 | 430800 |
2002 | 1.33 | 573400 | 430200 |
2001 | 1.09 | 461600 | 422000 |
2000 | 0.99 | 407800 | 412300 |
1999 | 1.25 | 502400 | 403500 |
1998 | 1.68 | 675200 | 403000 |
1997 | 1.45 | 541500 | 373800 |
1996 | 1.08 | 390700 | 362200 |
1995 | 1.2 | 400400 | 332800 |
1994 | 1.55 | 507200 | 326500 |
1993 | 1.91 | 617000 | 323200 |
1992 | 2.41 | 738100 | 306200 |
1991 | 2.86 | 840400 | 293800 |
1990 | 2.77 | 779200 | 281000 |
1989 | 2.68 | 704100 | 262800 |
1988 | 2.48 | 655700 | 264600 |
1987 | 2.34 | 608000 | 259500 |
視覚的にイメージしやすいようにグラフも用意しました。 グラフで表すと以下のような推移になります。
ポイントとなる箇所を赤丸で囲みました。 1991年の最高倍率2.86倍から2000年の0.99倍まで落ち込みますが、 それを底として次第に回復していっています。 1991年と2008年以後で急落しているのはそれぞれ大きな出来事が影響しています。
バブル崩壊で就職氷河期へ
1991年までの時代はバブル景気という好景気の影響で、新卒の学生は企業を選び放題となる売り手市場でした。 しかし、バブル崩壊を境に今まで売り手市場だった就職状況は一変。 民間企業の求人数は次第に減っていき、1993年からは就職氷河期へ突入します。
今までは景気が良かったので企業も新卒を積極的に採用してきましたが、 景気後退とともに企業も新卒の採用を抑制していきました。
その後少し盛り返しますが、2000年には求人倍率1.0を下回り、期間内における最低記録を更新しました。
リーマンショックで新就職氷河期へ
2000年からは雇用も回復傾向にあり、順調に求人倍率は増加していきますが、2008年に終わりを告げます。 リーマンショックが就職状況を再び一変させたのです。
回復傾向だった就職状況はリーマンショックにより再び後退。 新就職氷河期の時代へ突入していきますが、それでも2012年には底をつき、 現在に至るまで回復していっています。
就職氷河期
就職の話題になるとよく聞く就職氷河期についてご説明します。
就職氷河期とは
就職氷河期とは新卒の学生が就職をしにくい時代のことをいい、 学生の就職希望者数に対して企業の求人数が少ない傾向があります。
就職氷河期になると、いわゆる買い手市場となり、企業は学生を選り好みできる状態にあります。 逆に新卒の学生からすれば非常に厳しい就職状況といえます。
就職氷河期はいつ?
就職氷河期の時期ですが、一般的には1993年から2005年を指します。 また、2010年から2013年の就職状況も厳しく、こちらは新就職氷河期といわれています。
就職氷河期の時代では企業の求人数が減っていきます。 にもかかわらず大卒の就職希望者は大きく変化しないので、結果として求人倍率は激減することになります。
年度 | 求人倍率 | 求人数 | 就職希望者数 |
---|---|---|---|
2011 | 1.28 | 581900 | 455700 |
2010 | 1.62 | 725300 | 447000 |
2009 | 2.14 | 948000 | 443100 |
新氷河期時代だと2009年~2011年の減少が顕著です。 このように就職したい学生(就職希望者数)は横ばいなのに求人数が減少しているので、 この時代の学生は就職活動に相当苦労したことが伺えます。
原因
1993年から2005年の最初の就職氷河期の原因はバブル崩壊であり、 2010年から2013年の新就職氷河期の原因はリーマンショックによるものです。
バブル崩壊とは
1986年からは土地や株式などに積極的に投資する動きが増え、経済が好景気(バブル景気)になりました。
しかし、いきすぎた状況に政府は「総量規制」という不動産向け融資を抑える行政指導を実施。 さらに日本銀行による金融引き締めの影響で、バブル景気が泡のように一気後退しきます。これをバブル崩壊といいます。
リーマンショックとは
アメリカの大手投資銀行「リーマン・ブラザーズ・ホールディングス」の経営破綻をきっかけとした 世界的金融危機です。
1つの銀行破綻で世界的影響が?と思うかもしれませんが、 リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの負債額は約64兆円にものぼり、 アメリカ史上最大規模の倒産となりました。
同行が最も順調だったころは、アメリカで4位に位置する大手投資銀行でした。
ピークは2000年
就職氷河期のピークは2000年で、その求人倍率は0.99倍です。 1987年以降初めて求人倍率1.0を下回る最低記録を更新しました。
年度 | 求人倍率 | 求人数 | 就職希望者数 |
---|---|---|---|
2001 | 1.09 | 461600 | 422000 |
2000 | 0.99 | 407800 | 412300 |
1999 | 1.25 | 502400 | 403500 |
新世紀の幕開けとなり世間は盛り上がりましたが、2000年に就職活動をしていた学生にとっては それどころではない状況だったといえます。
その後、2008年以降に新氷河期時代が訪れ、就職状況は再び厳しいものになりますが、 それでも2000年の求人倍率を下回ることはありませんでした。
業界によって差がある
就職氷河期とはいえ、全業種が厳しいわけではありませんでした。 中には積極的に新卒を採用している業種もあり、 中には大卒の文系・理系の違いで求人倍率が異なる場合もありました。
なので、今後も就職氷河期が訪れたとしても就職活動全てが厳しいわけではないでしょう。 就きたい業種も大事ですが、現在の就職状況も考慮し柔軟に活動していくことが大事かと思います。