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小説「インシテミル」のあらすじと感想【ネタバレ注意】

  • 作成日:2018/10/09

米澤穂信さんの小説「インシテミル」のあらすじと感想です。 感想ではネタバレを含むのでご注意ください。

小説「インシテミル」のあらすじと感想【ネタバレ注意】

あらすじ

時給11万2千円のモニター実験。あなたは応募しますか?

地下に隔離された密閉空間「暗鬼館」で1週間過ごすだけで時給11万円がもらえる。 大学生の主人公「結城 理久彦」は車を買うお金を調達するために、それに参加します。

参加者は主人公を含む12人の男女。 主催者は「人文化学的な実験」という名目で彼らの動向を24時間モニタリングしますが、 暗鬼館には様々な思惑と罠が仕掛けられていて・・。

リスクをとってお金をとるか、安全に命をとるか。 12人の思惑は交差します。

インシテミル (文春文庫)

感想

ここからはネタバレを含むのでご注意ください。

最初に思ったこと

後半にかけて主人公の探偵ぶりが凄かった作品でした。 日を追うごとに参加者が少なくなっていくのはミステリー小説として定番かもしれませんが、 やはりスリルがあって面白かったです。

特に恋人と参加した若菜が人生を終えるシーンが印象的でした。 恋人を失い、犯人と思った人物に天罰を与えた後、「もういや。こんなの。最悪」といい自ら命を捨てました。

無念にも他人の手で強制的に人生を終えるシーンは多かったですが、若菜のように自らというのは色々と考えさせるものがあります。 暗鬼館が正常な判断を狂わせ、それほど人を追い詰めていたのでしょう。

人物について

年齢層に幅はありますが、比較的大学生くらいの若者を中心とした人物が多かったですね。 そして、主人公である結城の発言は結構面白かったです。 まさか天女が視察目的で参加していたなんて思いもよらなかったでしょうね。

この作品のヒロインは須和名 祥子なのでしょうが、主人公との甘い絡みは全くないので、 その辺を期待している人は少し物足りないかもしれませんね。

暗鬼館

それぞれの個室と娯楽室などいくつかの部屋がある空間ですが、 初めの方に見取り図があるのでイメージはし易いです。

鍵がない個室が割り当てられているので事件はそこで行われると思いきや、 ほとんどが別の部屋で発生しました。しかし、犯人がいる館に鍵がない部屋で一晩過ごすことは、 結城の行動からみても、いかに恐ろしいかがわかります。

ちなみに、12人にみたてた人形もありました。 この手の話にでてくる人形は自分たちを暗示するかのようで不気味ですが、 それほど印象的な出来事はありませんでしたね。 この人形を使いもっと色々あるかと思いました。

犯人

守りたい人を複数人抱えてるであろう関水が犯人でした。どうしても10億円欲しかったようですね。 須和名が所々怪しかったように思えますが、事件の犯人ではありませんでした。 とはいえ、須和名はさらに質の悪いことを考えていたと思うと恐ろしいです。

そして、犯人が起こした事件で最もインパクトが強いのは大迫と箱島の件でしょうか。 アドリブだったとはいえ、実に巧妙に事を運んでいます。天井が落ちるという仕掛けも強烈で、 顔の原型が壊れるという描写も印象深いシーンです。

また、主催したSHMクラブが起爆剤を用意していたという事実も衝撃でした。 起爆剤だけでは参加者が不安になるだけで済んだのでしょが、 お金をどうしても欲しい人材を組み込んでいたのが実に恐ろしいです。

自分がその中に紛れ込んだらと思うと、ぞっとしますね。

ラストは悲劇か

生き残ったのは半数の6人ですが、後日談でさらに岩井と関水に不幸なことが起こります。 どちらも人の人生を終わらせたゆえの天罰というものでしょうか。

いくらお金を得ても、それが不誠実な入手手段であれば岩井達のように常に悩むことになるのでしょうね。 今後の将来を考えれば、暗鬼館ではボーナスとしてお金を得るべきではなかったのでしょう。

また、次の開催を企んでいる須和名はさらに恐ろしいです。 いくら視察しているとはいえ、自分が狙われるという素振りは一切なかったのも不思議ですが、 何か裏があるのかもしれませんね。

最後に

それなりにボリュームがある小説で読みごたえはあります。 スリルの中に、所々クスっとするような描写もあるのも特徴的ですね。

そしてクライマックスで一気に犯人像が判明してくる追い込み感もありました。 最初から結城が覚醒していれば・・と少し思います。

後から知ったのですが、実写映画化されているようです。 キャストは藤原竜也さんと綾瀬はるかさん、石原さとみさんという超豪華なものです。 小説とは少し違い、参加者が12人ではなく10人のようですね。

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