小説「僕が七不思議になったわけ」のあらすじと感想【ネタバレ注意】
- 作成日:2018/10/13
川晴央さんの小説「僕が七不思議になったわけ」のあらすじと感想です。 感想ではネタバレを含むのでご注意ください。
あらすじ
学校に伝わる七不思議。あなたは信じますか?
地味で目立たない高校生の主人公「中崎夕也」はある出来事で学校の七不思議になってしまうことで物語は始まります。
「危ない橋は渡らない」を信条にしている主人公。 しかし、一人で静かに過ごしていた高校生活は、幽霊達と知り合うことで激変していきます。
気になる女の子に危険が迫っていても本来ならどうしようもできない。 でも、七不思議になった自分には特別な力があるわけで・・・。
第20回電撃小説大賞「金賞」の作品です。
感想
ここからはネタバレを含むのでご注意ください。
最初に思ったこと
後半にかけて一気に真実が明らかになったのはスピード感がありました。 特に朝倉咲紀さん(姉)が七不思議になったシーンは少し鳥肌が立ちましたね。 あの手の自問自答で衝撃な事実が判明するのはインパクトがあります。
また、主人公と朝倉さん視点の2つの物語があるのも良かったです。 主人公語りの小説だと相手の心情がわかりにくそうですが、 朝倉さん視点の物語を用意することで、彼女の想いが少しずつ変化していくのがわかります。
「主人公、早く告白しろ」
人物について
主人公はいざという時はかっこよかったのですが、所々で女々しかったですね。 最後に年下の朝倉香穂さん(妹)に真実を打ち明けるときに泣きながら話をしていたのは印象的です。
あとテンコさんが登場した時は主人公とテンコさんのカップルかと思いきや、 完全にお守り役でしたね。 テンコさんは孤独気味らしいので、「彼女のために自分は幽霊にでも何でもなってやる!」という物語を少し想像しました。 お相手は朝倉さんのほうでした。
七不思議について
タイトルを見た時に怖い七不思議をについて掘り下げていく物語だと思ったのですが、 七不思議の内容自体は珍しいものではなかったです。 トイレの花子さんなんて王道中の王道です。
七不思議が何かではなく、タイトル通り七不思議になった理由が物語の肝です。 夜12時に偶然学校にいたからではなく、大切な人を失ったことがきっかけでした。
テンコさんの言う通り正常な判断ができない状態で望んだことは間違いないのですが、 高校生で初の恋人を失ったら正常でいろと言う方が無理でしょうね。
ラストは切ない
主人公は七不思議から卒業し前を向いて進む道を選びましたが、朝倉さんともテンコさんとも一時お別れとなりました。
数年後に学校を訪れたとしても、七不思議になった姉の朝倉さんとは結ばれることはないでしょう。 また、妹の朝倉さんとも今後は関わらずに生きていくような気がします。
もしも七不思議に欠番がでて、自分がそれを望むなら朝倉さんと一緒になれるかもしれません。 ただ、一度七不思議をやめて生きることを選んだ彼としては、その選択肢はないでしょうね。
主人公はこの先ずっと一人で生きていくか、別の誰かと一緒になるのではないでしょうか。
最後に
ラノベなので非常に読みやすかったです。 読みやすすぎて「もう終わり?」と思ったほど。
あと、あとがきは読むべきです。 「1ヶ月で10冊しか売れていない」のお話はクスッとしました。 両親と兄と山本さんで4冊、自分で9冊なら3人も嘘ついているじゃないですか・・。